前回の項「調教のハロンの持つ意味」で、調教タイムを見るときに必要なものは基準と意味だと述べました。
基準の方を先に説明したかったのですが、それが元々私の中で曖昧に考えているため無理だと判断しました。ですので、先に調教の方法の方の説明から入りたいと思います。
調教は「走らせ方や追い方である調教方法の選択」と「調教をするためのコースの選択」のふたつの組み合わせがあってはじめて調教として成り立ちます。
今回は調教方法の説明をしたいと思います。
調教方法には走らせ方の
・単走
・併走
と、追い方の
・馬なり
・仕掛け
・強め
・一杯
の4つがあると私は考えています。
(人や新聞によっては、馬なり・強め・一杯の3つの場合もあります。)
まずは走らせ方から。
【単走】
1頭で走らせることです。
実際ただそれだけなのですが、もし意味を考えるとするなら、
・遠慮なく思い通りの調教ができる。
・他馬がいないので馬が気負うことが皆無に等しくなる。
になると思います。
【併走】
2頭ないし3頭で走らせて調教を行うこと。
併せ馬(あわせうま)とも言われる調教方法です。
パターンも終始併走のまま併せ続ける場合と、先に行った馬を追走する場合とがあります。
どちらの場合も、馬の闘争心を駆り立てる部分に重点を置いていることには変わりありません。それが「抜きつ抜かれつ」か「狙った的」なのかの違いです。
藤沢和雄厩舎の3頭併せの馬なり調教はあまりに有名で真骨頂といったところでしょう。
次に追い方を。
【馬なり】
手綱をしごいて追ったりステッキを入れたりせずに、馬の行く気に任せて走らせる調教方法。
トータルタイムの計測位置で馬に軽く指示を出してやる場合と、全くの行く気のみの場合がありますが、基本的にはその馬の行く気で行う調教ですので、どちらも馬なりの調教として捕らえられています。
質より量のパターンの調教で、休養明けやハードな調教が出来ない馬には時間をかけて数をこなさせます。
また、本番前で仕上がりが近い馬には微調整で行ったりもします。
用途的に多用できる調教でもあります。
しかし、最終追い切りなどの直前の馬なりの調教は、よほど悪い時計でない限り、軽く流したのか、ある程度のペースに抑えたのか、軽い調教になってしまったのかという判断が付きにくいところが難点です。(直前などの馬なり余力)
取り様によって余力を持たせた形のトレーニング方とも、ある程度に留めた調教だとも取れてしまうということです。
この見極めはラップを含む時計と本数になりますが、すべて単走の馬なりは少し疑問に思った方がいいかも知れません。
調教全体を見たときに、仕上がりが見える確かな一本が必要です。
【仕掛け】
見せ鞭(馬の視界にステッキが見えるように振る)や軽く追い出し(1~2度手綱を軽くしごく)をすることで指示を出し、その後は馬の行く気やる気に任せて走らせる調教方法。
「G前(ゴール前の)仕掛け」や「直線(に入ってから)仕掛け」といった形で指示を出すポイントで表し方が変わります。
そのためトレーニングとしては軽くなってしまうことが多くなってしまいがちなので(軽めの調教)、それを防ぐために最終追い切りに持ってくる厩舎も少なくありません。
ラップの急な上昇が時計から見られれば調教としては成功していると見て良いと思います。
この調教方法は反応の良し悪しを見るもので、肉体面以上に精神面を見取ることができる調教だと私は考えています。
また、決め手が末脚の馬に多く行われる調教方法でもあります。
【強め】
ステッキはあまり(全く)入れず手綱をしごき追って走らせる調教方法。
基本的には筋力強化や能力の向上、本番に向けて仕上げるために行う調教です。
馬なり・仕掛けと比べた場合、絶対的運動量が増しますので、時計もトレーニングとしての効果もはっきりと表れるのですが、身体に対しての疲労や脚への負担は当然増します。
どれだけの距離を追って走らせたかによってトレーニング量とその効果が分かるわけです。つまり「何ハロンその状態を続けたか?」と言うことです。
「直線強め」「G前強め」の場合は「強めに追う」よりも確実にその距離は短いので、割り引いた調教内容として考えてください。
競走馬は追えば走るように育成牧場の時期から訓練されますので、追えば走って普通なわけです。馬なりや仕掛け以上の反応や時計で当然、それと変わらないようなら疑問符が付くかもしれないという事です。
【一杯】
手綱をしごき、ステッキを入れて長い距離を全力で走らせる調教方法。終始追い通しの場合もあります。
タイム計測時から追い続けたり、ステッキを入れてさらに加速を促せるので、強めの調教以上に運動量は増え、時計もトレーニングとしての効果ももう一段階上のものとなるわけですが、身体の疲労や脚への負担も同じく増します。
強めの調教と同様に、馬なりや仕掛け以上の反応や時計で当然、それと変わらないようならこちらも?なの?ということになります。
この一杯という言葉、前に付く言葉や後に続く言葉で調教の意味合いが大きく変わってきます。それぞれ書いておきます。
「一杯に追う」全力で走るためにステッキや手綱をしごいて追う(調教する)こと。
「直一杯に追う」直線のみを全力で走らせる(調教する)こと。
「叩き一杯」ステッキを何度も入れて全力で走らせる(調教する)こと。
「追って一杯」調教で追った後に脚色が鈍り、それ以上のスピードで走れなくなること。
「一杯になる」脚色に余裕がなくこれ以上加速できないこと。
また、強めや一杯の調教は急仕上げの場合に用いられることも多いです。
そのパターンとして
・短いローテーション間隔時での急増を図りたい場合。
・汗のかかない時期や絞れない馬に対して「汗取り」をつけたりして早急に絞たい場合。
(馬なりの場合は汗取りを付けても数をこなします、こちらは時間をかけます。)
このような時は、コメントなどでその辺の言葉が載っていたりしますので、注意を払ってください。
この一杯の調教はどちらかというと「ズブい馬」の方に数多く見られる調教です。
「素直」「良い反応」「身体に不安のある」と前につく馬に、数多くこなさせることは稀だということです。
少し中途半端になりますが、調教方法の説明はこれで終了です。
次回はその調教で走るコース、というよりは土壌になるのですが、それの説明をしたいと思います。
13.0-40.0-53.0-68.0-83.0
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基準の方を先に説明したかったのですが、それが元々私の中で曖昧に考えているため無理だと判断しました。ですので、先に調教の方法の方の説明から入りたいと思います。
調教は「走らせ方や追い方である調教方法の選択」と「調教をするためのコースの選択」のふたつの組み合わせがあってはじめて調教として成り立ちます。
今回は調教方法の説明をしたいと思います。
調教方法には走らせ方の
・単走
・併走
と、追い方の
・馬なり
・仕掛け
・強め
・一杯
の4つがあると私は考えています。
(人や新聞によっては、馬なり・強め・一杯の3つの場合もあります。)
まずは走らせ方から。
【単走】
1頭で走らせることです。
実際ただそれだけなのですが、もし意味を考えるとするなら、
・遠慮なく思い通りの調教ができる。
・他馬がいないので馬が気負うことが皆無に等しくなる。
になると思います。
【併走】
2頭ないし3頭で走らせて調教を行うこと。
併せ馬(あわせうま)とも言われる調教方法です。
パターンも終始併走のまま併せ続ける場合と、先に行った馬を追走する場合とがあります。
どちらの場合も、馬の闘争心を駆り立てる部分に重点を置いていることには変わりありません。それが「抜きつ抜かれつ」か「狙った的」なのかの違いです。
藤沢和雄厩舎の3頭併せの馬なり調教はあまりに有名で真骨頂といったところでしょう。
次に追い方を。
【馬なり】
手綱をしごいて追ったりステッキを入れたりせずに、馬の行く気に任せて走らせる調教方法。
トータルタイムの計測位置で馬に軽く指示を出してやる場合と、全くの行く気のみの場合がありますが、基本的にはその馬の行く気で行う調教ですので、どちらも馬なりの調教として捕らえられています。
質より量のパターンの調教で、休養明けやハードな調教が出来ない馬には時間をかけて数をこなさせます。
また、本番前で仕上がりが近い馬には微調整で行ったりもします。
用途的に多用できる調教でもあります。
しかし、最終追い切りなどの直前の馬なりの調教は、よほど悪い時計でない限り、軽く流したのか、ある程度のペースに抑えたのか、軽い調教になってしまったのかという判断が付きにくいところが難点です。(直前などの馬なり余力)
取り様によって余力を持たせた形のトレーニング方とも、ある程度に留めた調教だとも取れてしまうということです。
この見極めはラップを含む時計と本数になりますが、すべて単走の馬なりは少し疑問に思った方がいいかも知れません。
調教全体を見たときに、仕上がりが見える確かな一本が必要です。
【仕掛け】
見せ鞭(馬の視界にステッキが見えるように振る)や軽く追い出し(1~2度手綱を軽くしごく)をすることで指示を出し、その後は馬の行く気やる気に任せて走らせる調教方法。
「G前(ゴール前の)仕掛け」や「直線(に入ってから)仕掛け」といった形で指示を出すポイントで表し方が変わります。
そのためトレーニングとしては軽くなってしまうことが多くなってしまいがちなので(軽めの調教)、それを防ぐために最終追い切りに持ってくる厩舎も少なくありません。
ラップの急な上昇が時計から見られれば調教としては成功していると見て良いと思います。
この調教方法は反応の良し悪しを見るもので、肉体面以上に精神面を見取ることができる調教だと私は考えています。
また、決め手が末脚の馬に多く行われる調教方法でもあります。
【強め】
ステッキはあまり(全く)入れず手綱をしごき追って走らせる調教方法。
基本的には筋力強化や能力の向上、本番に向けて仕上げるために行う調教です。
馬なり・仕掛けと比べた場合、絶対的運動量が増しますので、時計もトレーニングとしての効果もはっきりと表れるのですが、身体に対しての疲労や脚への負担は当然増します。
どれだけの距離を追って走らせたかによってトレーニング量とその効果が分かるわけです。つまり「何ハロンその状態を続けたか?」と言うことです。
「直線強め」「G前強め」の場合は「強めに追う」よりも確実にその距離は短いので、割り引いた調教内容として考えてください。
競走馬は追えば走るように育成牧場の時期から訓練されますので、追えば走って普通なわけです。馬なりや仕掛け以上の反応や時計で当然、それと変わらないようなら疑問符が付くかもしれないという事です。
【一杯】
手綱をしごき、ステッキを入れて長い距離を全力で走らせる調教方法。終始追い通しの場合もあります。
タイム計測時から追い続けたり、ステッキを入れてさらに加速を促せるので、強めの調教以上に運動量は増え、時計もトレーニングとしての効果ももう一段階上のものとなるわけですが、身体の疲労や脚への負担も同じく増します。
強めの調教と同様に、馬なりや仕掛け以上の反応や時計で当然、それと変わらないようならこちらも?なの?ということになります。
この一杯という言葉、前に付く言葉や後に続く言葉で調教の意味合いが大きく変わってきます。それぞれ書いておきます。
「一杯に追う」全力で走るためにステッキや手綱をしごいて追う(調教する)こと。
「直一杯に追う」直線のみを全力で走らせる(調教する)こと。
「叩き一杯」ステッキを何度も入れて全力で走らせる(調教する)こと。
「追って一杯」調教で追った後に脚色が鈍り、それ以上のスピードで走れなくなること。
「一杯になる」脚色に余裕がなくこれ以上加速できないこと。
また、強めや一杯の調教は急仕上げの場合に用いられることも多いです。
そのパターンとして
・短いローテーション間隔時での急増を図りたい場合。
・汗のかかない時期や絞れない馬に対して「汗取り」をつけたりして早急に絞たい場合。
(馬なりの場合は汗取りを付けても数をこなします、こちらは時間をかけます。)
このような時は、コメントなどでその辺の言葉が載っていたりしますので、注意を払ってください。
この一杯の調教はどちらかというと「ズブい馬」の方に数多く見られる調教です。
「素直」「良い反応」「身体に不安のある」と前につく馬に、数多くこなさせることは稀だということです。
少し中途半端になりますが、調教方法の説明はこれで終了です。
次回はその調教で走るコース、というよりは土壌になるのですが、それの説明をしたいと思います。
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